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脚本屋小松公典「制服の誘惑 優しく抱いて」について

  • 2019/08/12(月) 15:19:48

脚本家小松公典さんが、駆け出し時代の2004年に書いたOP映画「制服の誘惑 優しく抱いて」への想いを、シネロマン池袋の上映【8月23日(金)より】に合わせて寄稿してくださいました。



190823_制服の誘惑/優しく抱この作品は竹洞哲也監督が率いる竹洞組の作品としては2作目にあたるわけですが、企画として成立するのに半年以上を要したデビュー作よりも強い思い出があります。
 今、八面六臂の活躍を見せる松浦祐也との出会い、そして業界に入る前からの憧れであった林由美香さんの出演といった個人的な事もありますし、のちに「ロケの竹洞組」と言われた地方ロケ戦略を初めて行った作品でもあるからですね。

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 戦略?と、疑問に思う方もいらっしゃると思うので少し説明すると、ピンク映画は3本立てで公開される事が多いですね。そこで気になるのが背景となるセット。同じような場所がずっと続くと、内容よりもそっちに気がいってしまいがちだったんです。
 それを打破するには、そしてこの先に竹洞組としての特色となるものがあればと考えていた折、竹洞監督にロケ、それも地方に行くのが好きという話を聞いて、「これだ!」と思ったわけです。
 以降、様々な場所に出向きましたが、何事も初めてというのは印象深くなるものなのか、この作品で出向いたロケ地、千葉県の養老渓谷周辺に行った時の事はよく覚えています。
 元々、自分が関西出身という事もあり、都内ですら行った事のない場所だらけなのに千葉の、養老渓谷なんて聞いた事もありませんでした。

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最寄り駅は大多喜駅?どこよ、それ!
いすみ鉄道?えっ?単線?

前情報で聞いてもさっぱり分からない。シナハンで実際に行ってみると、これがもう内容にマッチする雰囲気が溢れていて、俄然やる気に火が付きました。
なんて事はきれいにまとめようとするイヤらしい心の声ですね(笑)。実際には、こんなところでタバコ切らした日にゃ地獄やぞ!という怖れしかなかったです。

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さて、この映画は過疎地に住む四人の高校生たちの青春を描いたものですが、ヒロインとなる吉沢明歩ちゃんの存在感があって成立するものと思っています。何年経っても心の中で色あせない女の子、実は自分にもいましてね。中学一年生の一学期に転校してきた女の子なんですが、一目見た瞬間に頭が真っ白になるといいますか。当時ですらよくマンガやドラマでありがちなパターンですが、いざ現実となると衝撃がハンパない。その日から寝ても覚めてもって状態になってしまったわけですが、当然ながら何かしらあったわけもなく、それだけに今も心にのこっているのかもしれません。
その子の雰囲気に似てたんですよね。だから見返すと、自分で書いておきながら胸キュン度がハンパない。ざわざわしたりドキドキしたり、それはご覧になった皆様にも伝わるんじゃないでしょうか。

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友達役を演じた冬月恋ちゃんというのは、自分が小さな出版社でエロ本を作っていた頃にお付き合いのあったマネージャーの方が紹介してくれたんですね。自分も出す事を条件に(笑)。
どこに出ているかは書くまでもないでしょう。今となっては力ずくでも阻止すべきだったと悔やんでおります(笑)。

さて、彼女は演技経験が全くなくて本読みの時も不安を感じていたのですが、いざ完成した作品を見てみると、独特のダウナーな感じが味となっており、それが主役との対比にもなってるので結果オーライといったところです。
素の彼女は酒豪。まあ、強い強い。撮影の後は朝の開始時間近くまで飲む事も多かったのですが、周りの男連中が徐々に寝落ちしていく中、けろっとして飲んでましたね。
きっと今もどこかで飲んでいるんじゃないかな。確か当時、キャバクラで働いてるって言ってましたからね。案外と、小料理屋の女将さんなんかやってたりして。

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由美香さんに関しては大勢の方がいろんな媒体で書いていらっしゃるので、自分ごときでは書くのもおごがましいんで。
ただ、彼女に演じていただいた女教師が放つセリフ、「ぶちこんで!」というのがあるんですがこれ、自分が書いたんじゃないんですよ。竹洞監督が「言わせたいから」というので加えたわけですね。何で言わせたかったのかは知る由もないですけど(笑)。

実はこの「ぶちこんで!」、これを書いている時の心情を一言で表したものとも言えます。

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 当時、次回作打ち合わせは銀座にある大蔵映画の事務室で行われていたんですが、そこで出された要望がですね、やれパンチラを入れろだの逆上がりしてる時がいいなだの、いわゆるオッサンが夢見るようなシチュエーションがたっぷりというか、それしかなくてですね(笑)。
自分もまだ三十代半ばとはいえ、キャリア的には若僧でしたからもうイヤでイヤで。やっぱり、ベタなものより尖った方にいきたい時期ってあるわけですよ(笑)。
こりゃどうしたらいいかと竹洞監督とですね、有楽町のガード下にある養老の瀧で飲みながら話していたんですが、ここはやはり先を考えてやらんといかんなと思い直し、だったらとことん「ぶちこんでやるわい!」と、書いてて頬が赤くなるような事をバンバン入れたわけです(笑)。
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そんな青い時期を経て今、書く時には劇場やお客さん、とりわけピンクの劇場に来るお客さんの事も頭に入れるようにはなりました。でもね、ちょいちょい思い出すんですよ。そんな余裕なんてなかった頃の事を。この映画のラストシーンのように。
                           脚本屋 小松公典